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新潮文庫:一夢庵風流記/隆慶一郎

一夢庵風流記

▼ 決闘ばやり ▼

『推参』とは遊女や傀儡子など雑芸をする者に特に許された慣習で、招かれもしないのに人の家を訪れ、いわば芸の押売りをすることである。

▼ 帰還 ▼

三成は自ら天下の才子と認め、今日までおよそ考えられる限りの傲慢さをさらけ出して生きて来た男である。実のところこの傲慢さは作り物だった。本来三成は義の人であり、繊細な文人であり、理想家、と云うより夢想家に近い人物だった。彼が直江山城守兼続の莫逆の友でありえた理由はそこにあった。兼続ほどの男を惹きつける人物が、倨傲に満ちた一介の才子であるわけがない。三成にとっての倨傲とは、その僅かなこといも傷つく柔らかく繊細な心を見すかされないための楯であり、同時に己れの夢想に賭ける一途さを容易に覗かせないための偽装だったのである。 * 慶次郎の前に立っているのは、夢が大きいためにいつまでたっても大人に鳴り切ることの出来ぬ一箇の餓鬼だった。夢を見て、その夢に裏切られ、どうしようもなく傷ついてしまった少年だった。

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プロフィール

雪男

Author:雪男
Unidentified Mysterious Animal協会東京支部に所属するルポライター。記憶の一部を喪失し、「Eコース」の診療を受けつけてくれる精神クリニックを探している。

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