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河出書房新社:日本を愛したティファニー/久我なつみ

日本を愛したティファニー

▼ 第一章 ティファニーを創った人々 ▼

「日本人のあなたが、なぜティファニーを?」私はまっさきに、作品が素晴らしいからです、と心から答えた。 * でも、アメリカ人に取材協力してもらうためには、ただ感動を語るだけではじゅうぶんでない。理屈での説得がいるので、私はいつも、こう付け加えることにしていた。「ティファニー家は、アメリカの歴史そのもので、興味が尽きません。メイフラワー号でやってきた清教徒を家祖にもち、未踏地を開拓して、世界企業を築いたのですから」ティファニー一族の歩みは、新世界の発展とともにあった。だから彼らを知ることは、アメリカ主導の現代が追いかけているものが何かを、理解することでもある――。アメリカ史を学ぶ。それがいちばんの眼目であると説明してから、ティファニー社が世紀にわたって斬新さと優れた品質を保ちつづけ、今も高い人気をあつめているのは驚きです、と誉め言葉でしめくくると、やっと、相手は、面白そうなテーマだと、膝を乗り出してくれた。

青い目で、端正な顔だちにはいささか釣りあいのとれない高く短い鼻は、ティファニー家独特のものだった。親戚たちはそれをTiffany Noseと呼んで、赤ちゃんが生まれるたびに、「うちの血だ」と、鼻を話題にしたという。

フレンチ・インディアン戦争においてインディアンがフランスと結ぶと、英国は焦って、手段を選ばず抗争にけりをつけようとした。インディアンへの残虐行為はとどまることを知らず、頭皮剥ぎが頻発し、天然痘患者が使った毛布を和解をよそおい贈り、村を全滅させたこともあった。これは世界初の生物兵器といわれている。人種の軋轢をその出発から業として抱えるニューヨークは、現代につづく細菌テロの発祥の地でもあったのだ。

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プロフィール

雪男

Author:雪男
Unidentified Mysterious Animal協会東京支部に所属するルポライター。記憶の一部を喪失し、「Eコース」の診療を受けつけてくれる精神クリニックを探している。

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