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文藝春秋:宇喜多の楽土/木下昌輝

宇喜多の楽土

▼ 嵐世の唄 ▼

羽柴秀吉とは、過去に石山城であっていた。武士というより、野人のごとき趣きの小男だ。百姓のように浅黒い肌、顔をおおうこい産毛。体躯には不釣りあいな金銀でいろどられた鎧に身をつつんでいた。折衝はすべて名代である叔父の仕事なので、秀吉とはろくに口をきいたことがない。むこうも強敵毛利を相手に、童にかまっている暇はないようだった。

▼ 豊家落陽 ▼

秀家が手のなかからだしたのは、賽子だった。が、転がらない。秀家があらかじめ、短刀でふたつに割っていたからだ。 * 断面から黒い鉛がのぞいている。いかさまの賽子――悪采である。さらに壺も取りだす。口のところに黒い糸がわたしてあった。「見覚えがあるだろう、破却場でお主が使っていたものだ。常に一がでる賽子、相手が半にはれば、壺のなかの糸で目を変えるという訳だ。よくぞ考えたものよ」

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プロフィール

雪男

Author:雪男
Unidentified Mysterious Animal協会東京支部に所属するルポライター。記憶の一部を喪失し、「Eコース」の診療を受けつけてくれる精神クリニックを探している。

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