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双葉社:破滅の王/上田早夕里

破滅の王

▼ 第一章 風根 ▼

旗袍を着込んだ女たちは扇子を揺らめかせながら、艶めかしい視線を客たちに送っていた。声をかけてみると、中国語も日本語も英語も通じた。手をとって身を寄せ合うと、白粉の香りに混じって、薔薇や白檀に似た馥郁たる香りが鼻の奥をくすぐった。上海へ来て以来、ずっと張り詰めていた気持ちがゆるやかに解けていった。情熱が立ちのぼり、相手と結び合った掌が汗ばんで、指先に少しだけ力がこもった。

「これは本当に白酒ですか。まるで日本酒のようだ」「ひとくちに白酒といっても、作り方によって味が変わります。中国の方が好むのは濃厚な香りの強いものですが、初めて大陸に来た方は、あの独特の酸味と刺激的な匂いにびっくりすることでしょう。そういうものは、こちらの料理と合わせるとなかなか美味いのですが、日本人が慣れるまでは時間がかかる。しかし、中には米酒の味わいに似た白酒もあるのです。原料も高粱だけとは限りません。何種類もの穀類を混ぜて発酵させて作る白酒もあります」

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プロフィール

雪男

Author:雪男
Unidentified Mysterious Animal協会東京支部に所属するルポライター。記憶の一部を喪失し、「Eコース」の診療を受けつけてくれる精神クリニックを探している。

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