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河出書房新社:生活の世界歴史7 イスラムの蔭に/前嶋信次

イスラムの蔭に

▼ 帝王譜――カリフの生きざま ▼

アル・マスウーディーの生年は定かではないが、バグダードで生まれ、アブル・ハサンが通り名であった。イラン、インド、セイロンからシーン(中国)にまで、それからマダガスカル、中央アジア、アゼルバイジャン、グルガーン、パレスチナなどを遊歴し、晩年をエジプトで送り、フスタート(古カイロ)で西暦九五六年に世を去った。アラブのヘロドトスなどとも呼ばれるほどの規模の大きな歴史学者であり、地理学者であった。もちろんイスラムの心奉者ではあったが、若い頃からイスラム諸学にはあまり精を出すことなく、専らギリシア伝来の諸科学や哲学に没頭したらしい。当時の世界の多くの民族や、大自然の不思議さに厭くことを知らぬ探究の目を向けていた人である。ただ図書堆裡に埋もれるというのではなく、歩きまわって、自然や人間と接触している間に驚くべき知識を蓄えてしまうという型の人物だった。『時代の物語』(アフバール・ウッ・ザマ―ン)という三〇巻の大著があったが、そのうちの一巻といわれるものが残っているにすぎない。『中間の書』という大著もあったらしいが、これも滅んでしまった。『黄金の牧場(と宝石の山)』という彼としては、よほど圧縮したつもりの著者は幸いにして今に残り得た。一九七二年に物故した英国の偉大なアラビスト、H・A・R・ギップも「アラビア語の文献中、心を楽します点で、これ以上のものはない」と褒めている。この書の中に著者は博物学、地理、歴史、民俗学、宗教、医学などに関する記述、そのほかなにくれとなく盛りこみ、「これについて詳しいことは自分のこれこれという著書に記してある」といってつき放している。しかし、それでいて歴史的に重要なつぼはちゃんとおさえている……というのもギップの評である。

▼ P.185 ~ P.186 ▼



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プロフィール

雪男

Author:雪男
Unidentified Mysterious Animal協会東京支部に所属するルポライター。記憶の一部を喪失し、「Eコース」の診療を受けつけてくれる精神クリニックを探している。

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