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晶文社:文字を作る仕事/鳥海修

文字を作る仕事 (206x300)

▼ 理想の本文書体とは ▼

あるとき橋本さんは、書を学ぶ先生からこのまま書を続けるか活字を作るか、そろそろどちらかに決めたほうがいいのではないか、書の文字は枠からはみ出すような表現だが、活字は枠の中に収めるもので、正反対の表現だから両立はできないだろう、という趣旨のことを言われ、熟慮の末に活字制作の道をとる。

臨書には筆法や形を忠実に再現する「形臨」と書き手の気持ちに寄りそう「意臨」の二種類があることを教わった。さっそく『張猛龍碑』の拓本と、藤原鶴来著の『和漢書道史』を購入して勉強した。『張猛龍碑』は北魏の書で、時代は、北は六朝、南は隋であの書聖王羲之とかぶる。気候のせいか南の王羲之の書は柔らかく流麗だが、北の『張猛龍碑』の文字は直線的で右上がりの男性的で強い文字だ。筆法においては起筆が強く終筆はかるく筆の穂先を整えながら抜くような、書家・石川九楊氏の言うところの二折法で、隷書から楷書に移っていく過程の文字らしい。 * 私の普段書く文字がなよなよしていたので橋本さんは私に筆力をつけさせようとしたのかもしれない。

「本文書体の理想は『水のような、空気のような』っていわれるけどね」私が本文書体を作ってみたい、といったときの橋本さんの言葉だ。人によっては人間が文字を作っている以上「水のような、空気のような」文字は存在しないという。きっとそうに違いないが、だけど作り手としては個性に甘え、誰でもが安心して読めるというような公共性を忘れてはならない。 * またこうも言っていた。「不思議と文字には年齢が出るんだよね。書が上手いとか下手とかに関係なく、子供は子供らしい文字を、年寄りは年寄りらしい文字を書く」至言だ。

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プロフィール

雪男

Author:雪男
Unidentified Mysterious Animal協会東京支部に所属するルポライター。記憶の一部を喪失し、「Eコース」の診療を受けつけてくれる精神クリニックを探している。

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